よもやま話

第9回 「恩師4」~千香士先生、人を育てる~

そういえば学生の頃、師匠のことを「チカッシュ」、
と呼んでいたことを不意に思い出しました。
特にこのコラムの内容になんら関係はありませんけど(笑)。
誰がそんな呼び名をつけたのかな・・?忘れましたね。

さて、話を戻しましょう。
前回からのコラムの続編、ということで書き進めていきたいと思います。

そんなこんなで、高校受験で芸大の附属高校を目指すこととなった私は、
田中千香士先生門下となったのであります。

今回の題名・・、「人を育てる」・・・。
ん~、さすが大学教授。そんな深いところまで!
まぁ、ふたを開けてみたらそんなにたいそうなことをレクチャーされた、
ということではなく、
☆ レッスンにはママは着いてこないで、一人で来ること
(当時、師匠は親をママ、と総称)。
☆ 自分の言葉で、意見を言うこと。

この2点でありました。
この2点の内容はリンクしていまして、要は親同伴だと、
例えば先生が何か注意を言った時、
「あ、わかりました。」
とか、
「あ、それについてはですね、」
といったように、子供本人が口を開く前に親が割り込んでしゃべってしまう、
ということが起きるからでありました。
親が子供よりも先に返答してしまうと、
子供本人が言葉を発する機会を失ってしまいますでしょう?
師匠はママが返事や意見をすると、それには軽く頷くだけで、
必ず、私に再度同じ質問をしてきました。
「で、貴美子はどう思うの?」
あの頃の私はかなり人見知りが激しくて、
相手の目を見て話したり、自分から喋ることがかなり苦手でした。
(今みたいになったのはどうしてなんだ~!?)
師匠は私が自分なりに意見を言うまで、絶対に目をそらしませんでしたね。
鋭い眼光で見つめられていたことを、よく記憶しています。
もちろん何気ない返事も、「はい、わかりました。」と、
きちんと声が聞こえるように喋らないと、言い直しさせられたりしました。

こういった師匠の姿勢は、今の私にとても生かされています。
・きちんと目を見て、言いたいことを伝える。
・はっきり話すことで、聞く側のモチベーションを下げない。
・なぜ、こうしなければいけないのか?
必ず、原因に対して理由・解決策を正しく伝える。

現場でプレイに関して、より良い演奏に仕上げるために、お互いに意見をぶつける。
広い場所でのレクチャーでも、全員に伝わるように言葉を発する。

我々、音楽業界の人間、特にプレイヤーは、
「弾けば分かるでしょ。」
「弾くことが専門なんだから。」
と言って、言葉足らずな人も少なくない。
でも、それだけで人と人とは完全に意思疎通はできませんね。

師匠は、私に大きな財産を与えて下さったな、と感謝感謝です。

補足:
我がアンサンブルトレーナー軍は、お酒が入ると熱くなって、
大きな声でよく意見を述べます(あはは)。

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